今日も不機嫌
ガチャッ バタン ごろん
反町が宿題をするために机に向かっていると突然後ろのほうからこんな音がした。大体予想はついているけれど、確認のために振り返り声をかける。
「若島津。」
音の主は思ったとおり若島津だった。ノックもなしに勝手にドアを開けてホットカーペットの上に寝そべっている。そして反町のベッドから布団を引っ張ってきて身体に巻きつけ、ごろごろと転がっていた。
声をかける反町をちらりと見ただけで、またもやごろごろ転がり始める。
あ〜あ。まただよ。本当にゆのまゆの若島津はすぐに不機嫌になるんだから。
(ごめんよ、反町くん。苦労をかけるね。:ゆのまゆ)
不機嫌になって自分の部屋に来るのはちょっと迷惑だけど、実はとっても嬉しい。甘やかしたらダメだよなと思いつつ、ついつい手を差し伸べてしまう。
ほとんど終わっていた宿題を片付けて、若島津の転がるホットカーペットに腰をおろす。
「で、どしたん?」
足先で軽く蹴飛ばしながら聞いてみた。
「・・・寒い」
「は?」
「すげー、寒いんだよ。あー、腹立つ。」
最近、一気に冷え込んできた。冷暖房完備の寮だけど、それでも朝晩の冷え込みは自分でも辛いと感じていたところ。寒がりの若島津は自分の倍以上は辛いだろう。プライドの高い彼は、自分が実は寒さに弱いことを周囲に知られることを異様に嫌がった。長い間一緒に寮生活を送っている仲間でも知っているのは、反町・島野、そして日向の3人だけだ。
あまりの寒さに身体中に余計な力が入って肩がこっているらしい。自分で自分の肩をとんとんと叩いたり、首をぐるぐる回している。
反町はそんな若島津にマッサージをしてやりながら気になることを言ってみた。
「確かにここ最近、急に寒くなったとは思うけどさ、昨日までは平気だったじゃん。なんで、今日はこんなに機嫌悪いのよ?」
「・・・・・・・」
若島津は答えたくなさそうだったけど、反町がマッサージの手を強めると渋々口を開いた。
「日向がいないから」
「は?」
「日向がいないから寒いんだよ。暑苦しいあいつがいて俺にはちょうどいいのにさ!」
はき捨てるように、そう言うとまた不機嫌そうに布団にくるまってしまった。
家の都合で今朝から日向は埼玉の家に帰っている。若島津の不機嫌の理由はただ単に寒いから、だけじゃなくて、日向がいないから寒いんだということにようやく気づいた。
「人間湯たんぽ、早く帰ってこればいいな。」
反町がそっと声をかけると大きな布団の塊が頷いたような気がした。
いつも熱い身体で自分を背中から抱きしめて指の先から足の先まで全部暖めてくれるのに。俺が風邪引いたら、てめえのせいだからな。
そんなことを考えながら眠ってしまうことに決めた。
こんな日は寝るに限る。反町の布団だけど寝てしまおう。
早く若島津のところに夏が帰ってこればいいね。
おしまい。
りょうさまのキリリクは反町君の目線から見たコジケンだったのに、クリアできなくてごめんなさいいい。
とりあえず、これでご勘弁くださいな。